注文住宅を建てるとき、一番夢がふくらむのは「間取りを考えているとき」ではないでしょうか?
そして費用を考えるときに現実を見て、
せっかく頭の中で思い描いていた理想の間取りや設備を諦めることになったり・・・
そんなギャップを少しでも減らせるように、
注文住宅の間取りと費用について、基本的な考え方を身に着けておきましょう。
目次
紙に書いてプランニングをするときのコツ
![紙に書いて間取りをプランニングするコツ](https://housing-master.com/wp-content/uploads/2018/05/chumonjutaku-madori-kihon01.jpg)
限られた床面積のなかで注文住宅の間取りプランを練っていると、
部屋の場所をあれこれ組み替えながら考えてみたくなります。
このとき、家の間取り図を自由に紙に書きながらプランを練っていたのでは、
変更があるたびに図を書き直さなければならず、気軽に試行錯誤ができなくなってしまいます。
これでは、家族で家の間取りについて話し合う場合にも、
活発な議論になりにくいのではないでしょうか。
そこでオススメしたいのが、方眼用紙を使った間取りのプランニングです。
住宅の部屋の配置を考えるときは方眼用紙を使う
方眼用紙の使い方はお好みですが、
目安としてはマス目2つを1畳と考えて、仮の部屋を作ってみるとよいでしょう。
1畳が縦2・横1マスですから、
8畳の部屋なら縦4・横4マスに方眼紙を切り取ります。
このように各部屋の広さに合わせて方眼用紙を切り取り、
それらを並べ替えながら間取りを考えていきます。
このとき、敷地の広さに合わせて方眼用紙を切り取っておくと、
敷地の縦・横方向に部屋がどこまで並べられるかの制約もわかり、より具体的なプランになります。
ただし、方眼用紙を並べながら考えるプランニングでは、
廊下を考慮に入れにくいのと、四角い紙を並べて考える関係上、面白味のないカッチリとした間取りになりがちです。
方眼紙はあくまでも部屋の配置や動線を考えるための目安程度にしておきましょう。
方眼用紙を並べながら動線や空間を考える
間取りについていろいろと考えを巡らすのは、
パズルを解く作業にも似ています。
そのため手間がかかると感じることもありますけれど、
基本的には楽しい作業だと思います。
その家での生活を想像すると夢も膨らむことでしょう。
しかし、闇雲に希望する内容を間取りに詰め込むと、
まとまりのない内容にもなりかねません。
そうならないためにも、
以下のようなポイントを重視してプランを練ってみてください。
1)家のプライベート空間とパブリック空間を分けて考える
住宅においてプライバシーが必要な個室やベッドルームなどのプライベート空間、
家族が集まる水回りやダイニングなどのパブリック空間。
この2つを家のなかでどう分けるのかを考えましょう。
家の建物が2~3階建ての場合は、階段を使った縦の移動が加わりますから、
この移動でプライベートとパブリックの空間を分けてしまうという考え方もできます。
2階建ての家で一般的なのは、1階をパブリック、2階をプライベートで分けるやり方でしょう。
ひと昔前までは、平屋と2階建てが主流でしたから、
空間の分け方はそれほどバリエーションがありませんでした。
ところが、今は地下や3階以上も当たり前になったほか、
柱にかかる強い荷重や給排水の関係で設置が難しかった、3階以上の高さに浴室を作ることもできるようになりました。
こういった技術の進歩のおかげで、
昔よりも家の空間の分け方はより自由になっています。
3階建てなら1階がパブリックで2・3階がプライベート、
地下がある場合は1階がパブリックで地下と2階がプライベートなど、
階数が増えるごとにいろいろな分け方が考えられます。
2)家の各空間と生活動線を組み合わせて考える
プライベートとパブリックの空間を分けて考えるときは、
動線も同時に考えておきましょう。
たとえば家の3階に浴室を作る場合なら、
同じフロアに洗濯物を干せるベランダやバルコニーがあったほうが便利です。
これが1階に水回りを作った場合だと、
洗濯物を持ってベランダのある3階まで階段を上がらなければならなくなります(1階に物干し用の庭があるような場合は別です)。
同じようにキッチンを2階に作ると、
お店で買ってきた食材を冷蔵庫まで運ぶのに、
毎回階段を上らなければならなくなります(これが悪いというわけではありません)。
このように、家事に関連する間取りや生活動線をよく考えて、
プライベートとパブリック空間を分けることをおすすめします。
3)間取り単体ではなく、敷地や道路と合わせて考える
注文住宅を選んだお客様にその理由を聞いてみると、
敷地内に愛車をとめられるから、と答える方が少なくありません。
そういったお客様は当然敷地内にカーポートを作ることを希望されますので、
車の置き方だけではなく、駐輪場や庭の配置、またそれに伴う風通しの変化など、
家の間取りとの関連性も良く考える必要があります。
営業マン時代のエピソード「狭すぎたビルトインガレージ」
![狭いビルトインガレージ](https://housing-master.com/wp-content/uploads/2018/05/chumonjutaku-.jpg)
私がハウスメーカーに入社して2~3年目ぐらいのときにもこんなことがありました。
これは今となっては恥ずかしい失敗談ですが、
自戒の意味も込めてご紹介します。
当時私は、とある3階建て住宅の案件を受け持っていました。
しかし、忙しさにかまけて、建物の設計を設計士にほとんど任せっきりにしていたのです。
担当したお客様からは「建物をできるだけ大きくしたいので、
駐車するスペースは狭くてもいい」とお願いされていたため、
建築する注文住宅のカーポートはビルトインガレージを選びました。
住宅のビルトインガレージというのは、建物の1階部分に作るガレージのことで、
駐車場を建物の外に作らなくていいぶん、建物を大きく作ることができ、
なおかつ駐車スペースも狭くできるというメリットがあります。
ところが、それを見たお客様の奥様から
「こんなに狭いガレージでは、車の出し入れのときに切り返しができない」
と言われてしまったのです。
奥様がなぜ困っていたのかというと、ガレージに加えて家の前の道路も狭く、
他の車とすれ違うことすら難しかったのです。
しかもガレージの出入口の横に電柱があり、そこにぶつからないように車を運転しようとすると、
通常よりも余計にハンドルを切り返す必要がありました。
結局その問題を解決するために、邪魔になっていた電柱を他の場所に移し替える工事をすることになり、
40~50万円程度の費用を会社側が負担することになってしまいました。
これは敷地や建物だけではなく、
周辺の道路に対する調査をもう少し入念に行っていれば防げた問題ですから、
私にとってはこれも非常に悔やまれる事例になりました。
4)まずは家の間取りに対する要望を営業マンに提案してみる
どんな間取りにするかをご家族で話し合っていると、
さまざまな注文住宅の要望が出てくると思います。
そういった要望のなかには、予算の都合で実現が難しそうとか、
技術的に可能なのかどうかがわからないなど、
要望が上がった段階でなんとなく可否を判断してしまうものがあるかもしれません。
しかし、ハウスメーカーの元営業マンの立場からすると、
それらの要望に対する可否はご家族のなかで判断せずに、
一度全部お話しいただきたいと思ってしまいます。
たとえば、一見実現が難しそうに思える要望でも、
プロの設計士の目から見れば実現が可能なものかもしれません。
また、採光計画、北側斜線、道路斜線など、
法律の関係で実現ができない場合でも、それに代わる案をご提案できる可能性もあります。
お客様の要望は、難しいと感じても最初からあきらめてしまうのではなく、
まずは営業マンに相談してほしいのです。
注文住宅を建てるにあたって、
お客様の要望を頭から否定してしまうような営業マンや設計士は
プロとして失格だと私は考えています。
どうすれば実現できるのか、またそのままでは実現が難しい要望でも、
何か代わりになる方法はないか、
そういった可能性を探れる営業マンや住宅の設計士と出会えることをお祈りしています。
内装の色使いでより効果的な空間作り
![内装の色使い](https://housing-master.com/wp-content/uploads/2018/05/chumonjutaku-madori-kihon02.jpg)
注文住宅の間取りを考えるときに、
特に気にしていただきたいのが内装(インテリア)です。
一見、間取りと内装には相関関係がなさそうにも思えますが、
実はこの2つは密接に関係しています。
そのため、単に好みの色やデザインを優先させて内装を選ぶと、
快適で居心地の良い空間にはなりにくいのが実情です。
これは色を選ぶセンスの良し悪しとは関係なく、
内装によって間取りにどんな効果を与えるのかをわかっていたほうが、
より完成度の高い建物になるのです。
たとえば、広い家の場合なら全体的に抑えた色調、
どちらかというとナチュラルな色使いをすると、
空間の広がりを感じられるようになります。
色の明るさについても、天井>壁>床の順で明るくする(天井が一番明るい)と、
部屋がより明るく広い空間に感じられることでしょう。
このように色を意識することで
、間取りをより活かせるようになるのです。
内装に関しては、落ち着いた木目調のオーク系が人気で、
色もライト、ミディアム、ダークの3種類があります。
※画像はイメージで紹介している色とは異なります。実際の色味は、メーカーカタログなどで確認できます。
クラシックな家ならダークオーク、モダンな家ならミディアムかライト系の色がおすすめです。
軽快なイメージの家であれば、オークではなくグレー系やホワイト系の色使いも良いと思います。