住宅には必ず窓があります。
建築基準法にも定められているとおり、窓のない家は家ではありません。
快適な暮らしをするには、窓は欠かせないのです。
では、建築基準法において、窓が果たす役割は何と書かれているのでしょうか?
それは大きくわけると以下の3つになります。
窓の果たす主な役割
- 採光用
- 換気・排気(排煙)用
- 火災時の消火、救助、避難用
このうち、3つ目の火災時の窓の役割は、
人が出入りできる大きさであれば問題がないので良いとして、
重要なのは日常的に関わってくる採光と換気用途でしょう。
家づくりにおける窓の主な役割は、何と言っても採光と通気です。
窓を新たに1つ設置しただけで部屋の明るさが大きく変わることもあれば、
今まで無風だった部屋に風が通るようになることもあります。
家で明るく快適に過ごすためにも、窓の存在は欠かせないのです。
しかし、窓は家の気密性にも関わりますので、
家をどの程度高気密・高断熱にするのかは、
明るさ・風通しと天秤にかけながら考えたほうがよいでしょう。
たとえば寒冷地に家を建てる場合なら、
寒い冬を快適に過ごすために高気密のほうが良いでしょうし、
南の暑い地域であれば、風通しの良い家を望まれるかもしれません。
住む地域や気候によって、窓の種類や数、大きさにも違いが出てくるのです。
ここでは注文住宅を建てる際に、窓についてどう考えれば良いのかを解説しましょう。
目次
窓から自然の風を取り込む生活を基準とする
![日本の四季に合った窓の設置](https://housing-master.com/wp-content/uploads/2018/07/housing_window01.jpg)
日本国内に家を建てて住む以上、移り変わる四季と暮らしの関係は切っても切り離せません。
お住まいの地域によって季節の長さや気温・気象の程度に違いはあれ、
ほぼ4つの季節に変わることは同じです。
となると、家の住環境はどの季節に合わせればいいのかが問題になります。
基本的に東北・北海道や沖縄のように、寒さ・暑さの厳しい地域以外は、
一番暑い夏を基準に考えるのが良いでしょう。
日本は昔から夏を快適に過ごすための家づくりが行われてきました。
日本の木造建築に深い庇(ひさし)や軒(のき)などがあるのも強い日差し対策の一環です。
そもそも、人間が体温を調整する場合、気温の低い冬は服を着こむことで体温の低下を防げますが、
夏は服を脱ぐだけでは体温を調整しきれないことがあります。
汗をかくだけでは体温調整が間に合わず、熱中症になる方もいらっしゃるぐらいです。
したがって、夏場はクーラーに頼らざるを得ません。
ただ、歳をとってくると、機械的な温度調整が体の大きな負担になることもあります。
日本には昔から夏の暑さを和らげるために、
窓によしずを付けたり、打ち水をまくなどの知恵を駆使してきました。
昔より平均気温が高くなってしまった現代では、
そこまで時代を巻き戻す必要はないかもしれませんが、
冷暖房器具に頼り切らないで過ごすための工夫もまた、身体のためには大事です。
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風通しをよくする窓の設置を検討する
![風通しをよくする窓の設置](https://housing-master.com/wp-content/uploads/2018/07/housing_window00.jpg)
窓を開けて風を取り込もうと考えたときに、
真っ先に心配になるのが防犯ではないでしょうか。
普通の窓を全開にしただけでは確かに無防備になってしまいます。
しかし、窓のなかには防犯性と風通しの両方を兼ね備えた商品もあるのです。
そんな機能性と防犯性に優れた窓をいくつかご紹介しましょう。
通風雨戸・ルーバー雨戸を取り付ける
![ルーバー雨戸](https://housing-master.com/wp-content/uploads/2018/07/housing_window02.jpg)
雨戸のなかには、可動式のルーバーとカギがついている商品があります。
このルーバーから風を取り入れることもちろん、
ルーバーの角度を調整して光を取り込むこともできます。
ステンレス製の網でできた網戸を使う
![網戸](https://housing-master.com/wp-content/uploads/2018/07/housing_window05.jpg)
虫の侵入を防ぎつつ風を通してくれる網戸は、夏には欠かせないものですが、
防犯という点ではまったく役に立ちません。
しかし、一部のメーカーからは、網戸の網部分を頑丈なステンレス製にしたうえ、
外れにくい戸車と内カギを備えて、網戸自体を外れないようにしてある商品があります。
これなら外出までは無理でも、家の中にいるうちは使うことができるでしょう。
窓に面格子をつける
![面格子のついた窓](https://housing-master.com/wp-content/uploads/2018/07/housing_window03.jpg)
窓の外側に面格子をつければ、窓自体を変えることなく防犯性を高めることができます。
当然窓も開けられるので、風通しと防犯性の高さを両立できます。
ルーバー窓(ジャロジー)+αの組み合わせで防犯性を高める
風通しの良い窓といえば、複数に分かれたガラス部分を傾けて開けられるルーバー窓、
別名ジャロジー窓が挙げられます。
しかし、ルーバー窓だけだと必ずしも防犯性が高いとは言えません。
そこで、ルーバー窓に別の商品を組み合わせることで防犯性を高めましょう。
一例としては、ルーバー窓の内側に内格子を付けることです。
これなら仮にルーバー窓を越えられてしまっても、その先には簡単に入れません。
そのほか、上で挙げた面格子を窓の外側に付けるのも効果的です。
このように、さまざまな防犯対策が施された商品を使えば、風通しの良い窓にすることができます。
また、長時間外出する場合は、すべての窓を閉めたほうが防犯上安全なのは言うまでもありません。
家にいながら窓を開けておきたい場合、
ちょっと昼寝をする程度の時間だけ窓を開けておきたい場合などには良いと思います。
窓の大きさと冷暖房効率の関係は?
より多くの光を部屋に取り込もうとすると、窓のサイズは自然と大きくなり、
取り付ける数も増えていきます。
しかし、窓の数とサイズに比例して、夏場は外から部屋の中に入る熱、
冬場は部屋から出ていく熱が増えてしまいます。
部屋のなかで一番熱が入りやすく出やすい場所が窓なのです。
窓からの熱の出入りを抑えるには、複層ガラスを使った窓を使うのも1つの方法です。
複層ガラスの窓は、板ガラスと遮熱(断熱)性能があるガラスからなり、
ガラス2枚の間に乾燥した空気を封入してあります。
窓の室内側には板ガラス、屋外側に遮熱(断熱)ガラスを使うことで、
外からの熱を入りにくくすると同時に、室内からの熱を反射するのです。
つまり、夏はより涼しく、冬はより暖かく室内を保てます。
なお、寒冷地向けには、さらに性能の高い、高断熱複層ガラスを使った窓もあります。
プライバシーを守りたい場合はハイサイドウインドウ
![ハイサイドウィンドウ](https://housing-master.com/wp-content/uploads/2018/07/housing_window04.jpg)
住宅密集地に注文住宅を建てる場合、窓の取り付けでまず気になるのは、
周囲からの視線ではないでしょうか。
窓を付けて光を取り込みたいけれど、その方向には隣家の窓があるとか、
大きな通りが目の前にあって往来の人からの視線が気になるといったことはよくあります。
たとえば、陽当たりの良い南側にどうしても大きな窓を作れない場合は、
ハイサイドウインドウ(ハイサイドライト)を使うのも良いでしょう。
ただ、南側のハイサイドウインドウだと夏場の光が強すぎる場合がありますから、
庇(ひさし)を作るなどして対策を練りましょう。