私は住宅ハウスメーカーの元営業マンとして、
これまでにいろいろなお客様と接してきました。
その経験からすると、注文住宅のプランを練るときに、
男性のお客様がこだわる注文住宅の間取りのトップ3は、
お風呂、書斎、玄関だと思っています。
最も人気のあるお風呂に関しては、
広さやカベの材質など、いくつかのこだわったポイントが挙がります。
しかし、最近はユニットバスでも近いデザインが実現できるようになっているうえ、
お風呂は奥様も利用されますから、
最終的には意見のすり合わせがしやすいのでしょう。
しかし、書斎については要望の内容も十人十色で、
ユニットバスのような規格がないぶん、強いこだわりを持つお客様が多いと感じています。
目次
書斎は無駄なスペースなのでしょうか?
![憧れの書斎](https://housing-master.com/wp-content/uploads/2018/06/housing_syosai01-1024x683.jpg)
昔から、書斎は男の城、男の縄張り、男の聖域などと言われることがありますが、
実際にお客様のご要望をうかがっていても、それは強く感じます。
こんな本を置きたい、こんなインテリアにしたいといった要望をとおして、
旦那様の趣味や個性が強くにじみ出ますので、
書斎はまさに男の城、漢の縄張りなのです。
しかし、間取りの打ち合わせで書斎のお話になると、
しばしば奥様と旦那様との間に小さなケンカが起こります。
旦那様が書斎について要望を出すと
「あなた普段から本なんて読まないのに、書斎ができたら急に本を読むようになるの?」
といった調子で、奥様からチクリとつっこみを入れられてしまうのです。
これは奥様のご意見がたとえ正論であったとしても、
男性が傷つきますから、できるだけ避けていただきたいと思っています。
確かに、奥様のご指摘に関しては、同じ1人の男性としても耳の痛い話です。
実際、私がこれまで手掛けてきた注文住宅のなかにも、
せっかく作った書斎がのちのち納戸や寝室になってしまったという例はいくつかあります。
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男性が書斎に求めるものとは?
![屋根裏や空いたスペースに書斎をつくる](https://housing-master.com/wp-content/uploads/2018/06/housing_syosai02-1.jpg)
しかし、奥様にそこまで言われても、
旦那様が書斎にこだわる点もまたよくわかるのです。
普段会社で仕事をしていると、休みの日や平日の夜ぐらいは、
書斎で1人ぼんやりと思索にふけりたい時間が欲しくなるものなのです。
必ずしも書斎だからといって本を読みたいだけではなく、
静かに音楽が聴きたいときもあれば、趣味の機械いじりがしたいとか、
パソコンで調べものがしたいときもあるでしょう。
ときには会社でやり残した仕事を持ち帰って、
こっそり残業をしていることもあるのではないでしょうか。
私個人としては、旦那様が書斎に対して持つこだわりは、
奥様のキッチンに対するこだわりと同じようなものであると考えています。
奥様のなかには、キッチンだけではなく、家事スペースを要望される方もいらっしゃいますが、
家事の大変さを考えると、これもよく理解できるのです。
ところがキッチンと比べると、
書斎は旦那様ご本人しか使わないスペースという点から理解が得られにくく、
間取りのなかではどうしても優先度が低くなってしまいます。
それでも工夫しだいで何とかなるのが書斎ではあります。
以下のポイントに注意しながら、ぜひ書斎作りに挑戦してみてください。
個室の書斎はぜいたくな空間?
50~60坪以上の広い家でもない限り、
書斎専用の個室を作るというのはなかなかご家族の同意を得にくいのが実情です。
ご夫婦が大の読書好きであるとか、
仕事に使う資料が何かと多くなりがちな著述業や研究者・大学の先生でもないと、
本格的な書斎を作るのは、優先度が低くなってしまいます。
紙の本が棚にずらっと並んでいると、
スペースの無駄だから定期的に処分をするよう言われてしまう方も多いと聞きます。
しかし、書斎があることで生活が豊かになる、
新しいライフスタイルが始まるというのであれば、
ぜひご家族を説得してでも作るほうが良いと感じます。
どうしても実現が難しい場合は、個室の書斎にこだわらず、
空きスペースに書斎の機能を持たせるのも良いでしょう。
空きスペースに簡易書斎を作る
![空いたスペースに書斎をつくる](https://housing-master.com/wp-content/uploads/2018/06/housing_syosai03-1024x560.jpg)
部屋のちょっとした空きスペースを書斎に転用する方法は、手軽さでは一番です。
スペースを作るための特別な工事は必要なく、
費用もほとんど要りません。
空きスペースさえあれば、どこでも書斎にできる可能性があります。
たとえばリビングの一角が空いているなら、
カベ沿いに横長のデスクを設置し、そこを書斎代わりにすることができます。
個室のように閉ざされた空間ではないにせよ、
ご家族が就寝された時間や外出されている時間であれば、
個室のように使うことができるでしょう。
屋根裏やクローゼットに書斎を作る
注文住宅のプランのなかに屋根裏を使う予定がある場合は、
収納スペースと一緒に小さな書斎を作るのも良いでしょう。
天井裏は立って歩けるだけの高さを確保することは難しいですが、
それでも座って本を読んだり、パソコンで調べものをしたり、
ゴロンと横になるぐらいのことは簡単にできます。
2階のリビングのすぐ上や、1階の吹き抜けにつなげる形で屋根裏部屋を作れば、
風通しもよくなりますし、そこまで上がって行きやすい構造にもなります。
屋根裏に作るのも難しい場合は、階段の踊り場を広く作って書斎にするほか、
1階と2階の間にスキップフロアを作って、そこを書斎代わりにするような事例もあります。
また、変わったところでは、広いウォークインクローゼットの一部を書斎にするというケースもありました。
屋根裏とウォークインクローゼットは、
天井や壁で周囲がさえぎられていますので、
リビングに作るワークスペースよりは落ち着く場所になるかもしれません。
家事スペースと書斎を共有する
アイロンやミシンがけのほか、
パソコンを使った調べものなどもできる家事スペースは、
奥様に人気があります。
注文住宅の打ち合わせの際にも、
家事スペースを作ってほしいという要望が出るぐらいです。
そこで、奥様の家事スペースと旦那様の書斎を
一体化して作ることを検討してみてはいかがでしょうか。
2畳程度の書斎と家事スペースを別々の場所に作るぐらいなら、
それらをまとめて4~6畳程度の共有ワークスペースにするほうが、
かえって使い勝手は良くなります。
しっかりとした個室を作るのではなく、
たとえばキッチンからつながる空間、具体的にはパントリーを拡張するなどして、
オープンなスペースにしたほうが良いでしょう。
この共有スペースは、旦那様が出勤している日中は奥様やお子様が使え、
夜間は帰宅した旦那様が使えるのが良いところです。
前述の空きスペースに簡易的に書斎を作るよりも
費用がかかるというデメリットはあるものの、
本や家事の道具がしっかり収納できたり、
机のレイアウトが工夫できたりするなど、メリットも多いのです。
そういったスペースが家の中にあるのとないのとでは、
日々の生活習慣も変わってきます。
ご自分の趣味を伸ばすためにも必要なスペースなのです。