日本の平均的な家庭にとって、注文住宅を含む家という商品は、
人生で最も高い買い物になる場合がほとんどです。
ボーナスが出たから奮発して楽器を買う、誕生日のプレゼントとして洋服を買うというように、
日常生活のなかで気軽に買える物ではないだけに、
住宅購入費の支払いには長期的な計画性が求められます。
しかも、ローンでの支払いを前提としたうえで、
どの金融機関のどのローンを使うのかについても十分な検討が必要です。
ここで、住宅の購入について客観的な目で見るためにも、
国土交通省がまとめた住宅の購入価格と平均年収のデータを引用させてもらいます。
この資料によると、三大都市圏での注文住宅の購入資金は、
平均世帯年収の約6年分である4472万円になっています(データでの平均年収は734万円)。
このデータには記述がありませんでしたが、平均年収の額が高めなのは、
住宅の購入を考えている層が年齢の高い層だからかもしれません。
さて、データにある購入価格4472万円うち、1469万円が自己資金でまかなわれ、
残りの3003万円(データでは3004万円と表記)では借入金となっています。
つまり住宅を自己資金で払えるのは、購入金額の約32%だとわかります。
4472万円という金額を現金一括払いで払える家庭は限られていますから、
実態に即したデータではないでしょうか。
このモデルの場合、借り入れ金3000万円という数字は決して少ない額ではありません。
しかし、現在も低金利が続いていますので、お金を借りやすい状況は依然変わっていないと言えます。
このような状況のなかで、住宅購入の際に利用するローンのなかで一番名前が知られているのがフラット35です。
目次
フラット35はどんなローンなのでしょうか?
フラット35は銀行をはじめとした民間の金融機関や住宅金融支援機構が提供するローンで、
いくつかの優れた特徴があります。
ここではフラット35の特徴をいくつか簡単にご紹介しましょう。
1)フラット35の金利は固定
借入額についてくる金利には、
借り入れから返済までの利率が変わらない固定金利と、
市場の金融情勢に合わせて利率が変化していく変動金利があります。
さらに固定金利には、借り入れ後の決められた年数だけは固定金利で、
その後は返済までが変動金利に変わる「固定金利期間選択型」もあるのです。
このうちフラット35は固定金利を採用しています。
固定金利のメリットは、
ローンの返済中に市場の金利が上昇してもその影響を受けないため、
決まった額を返済すれば良いという安心感がある点です。
固定金利のデメリットは、市場の金利が契約時の金利より下がった場合でも返済額は減らず、
損をした気分になることもある、という点でしょう。
しかし、未来の金利がどう変動するかは誰にも予測できませんし、
金利の変動で一喜一憂するのは、変動金利も同じです。
仮にローンの返済期間を20年に設定した場合、
20年もの間、金利がどう変動するかを追いかけ、
有利になるたびにローンの返済プランを変更するというのも大変な手間です。
また、そこまでした労力が節約できた金額に見合うものなのかもわかりません。
そういった「市場を監視する手間」と「市場金利が下がったときの損失額」を天秤にかけて、
固定金利が得かどうかを考えてみましょう。
私個人の意見としては、最終的に払う金額が最初の段階で明確になり、
返済まで変わらない固定金利のほうが精神衛生上よいと考えています。
2)性能の高い住宅には金利を引き下げ
フラット35のなかにはフラット35Sというプランもあります。フラット35Sには、
ローンを利用して建てる住宅に省エネルギー化や耐震化、
バリアフリー化が行われていて、なおかつ性能が高いと判断された場合は、
一定期間金利が優遇されるという制度があります。
この記事を書いている時点では、
フラット35と比較して年間0.25%優遇されるようになっていました。
借りる金額にもよりますが、
3000万円の返済があった場合なら30万円以上返済額が変わってきますから、
検討する価値は十分にあるでしょう。
3)保証料金と繰り上げ返済手数料はともに0円
通常、銀行で住宅ローンの借り入れを行った場合には、
保証料金が必要になります。これはローンの借り手が万が一返済不能に陥ってしまった場合に、
返済を肩代わりしてくれる保証会社に対して支払う料金です。
保証料金には2つの支払い方法があり、その違いは以下のようになります。
一括支払い方式
一括で保証会社へ保証料金を支払う場合は、
借り入れした銀行によっても異なりますが、
ローンの借入額の2%程度を支払います。
分割支払い方式
一括で支払う金額が用意できない場合、
あるいはあえて手持ちの資金を残しておきたい場合に選ばれる支払方法です。
分割支払いといっても、毎月~円という具合に料金を分けて支払うわけではなく、
借り入れ時の金利に0.2%を上乗せして住宅ローンの契約をします。
フラット35なら、この保証料金が0円で済むうえ、
保証人も必要ないので気軽に利用できます。
さらに、返済中に資金に余裕が出来て繰り上げ返済をしたくなった、
または返済方法を変更したくなった場合でも、手数料はかかりません。
4)返済中に受けられる手厚いサポートも特徴
20年、30年という長期間のローン返済になると、
借り手も年齢を重ねますから、
不慮の事故や病気で身体に障害を起こしてしまうこともあるでしょうし、
最悪の場合には亡くなってしまうこともあるかもしれません。
そんな時にも安心なのがフラット35です。
フラット35は、新機構団体信用生命保険制度に入ることができます。
これに加入しておくと、前述のように
身体に障害が起こったり、死亡してローンの残金が支払えなくなったりした場合に、
支払われる保険金が残債に充当されます。
こういった保険に加入していない場合は、
財産を相続される方が代わりに支払うことになりますので、
残された方のことを考えると保険に入っておいたほうが安心です。
団信保険に加入する際は、
別途契約している生命保険や、医療保険を見直して、
保険料を節約することもできます。
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万が一の時に頼れる安心制度つき住宅ローン
契約内容にもよりますが、基本的にローンは長年に渡って払い続けるものです。
支払い期間中には、年収が上がって支払を繰り上げられるような場合や、
病気で働けなくなり、支払いが滞ってしまうようなことも考えられます。
こういった不確定な要素にも柔軟に対応でき、
万が一の場合にもフォローしてもらえるような制度があるほうが、
安心してローンを利用できるでしょう。
せっかく高額なお金を払って注文住宅を建てるのですから、
ローンの内容をよく見極めて、ご自身のライフプランと照らし合わせて、
なるべく有利なプランを選んでみてください。
住宅ローン借り入れ開始時期に注意
住宅ローンを借り入れできる時期は、住宅が完成してからとなります。
場合によっては、つなぎ融資が必要になることもあります。
住宅会社への支払いが滞ると、計画が狂うこともありますので、
依頼する前に住宅会社に支払いのタイミングを確認しておきましょう。
住宅会社と解約する際に、大まかなスケジュールが決まると思いますが、
費用の払い込みタイミングについて解説している記事もありますので、
参考にご覧になってみてください。
▼こちらの記事で「費用の支払いタイミング」について記載しています。▼