家の間取りを考えるときに、昔から知恵のひとつとして活用されてきた風水家相では、
トイレは不浄な場所とされています。
いわく、トイレは陰の気(悪い気)がこもる場所であり、
家のどの方角に作っても凶であるというのです。
作った方角によっては、家族が病気になるとも言われました。
しかし時代が変わってトイレが汲み取り式から水洗式になってからは、
悪い影響は弱まったそうで、トイレの衛生環境の改善とともに、
家相も変わっていることがわかります。
そもそも、トイレは時代に関係なく、清潔であることが一番です。
基本的には用を足すことが最大の目的ですから、まずは清潔な環境を踏まえたうえで、
あとはトイレに+αを求めるかどうかで、注文住宅のプランが変わってくるのです。
まずはトイレ作りの基本的なポイントからご紹介しましょう。
換気でトイレを清潔に保つ
建築基準法で24時間換気システムの設置が義務付けられていることもあり、
ほとんどのトイレは換気に関して問題はないはずです。
ただ、換気システムがついていても、
トイレの場合は窓がないと閉塞感が増しますし、
陽の光が入るほうが衛生面でも良いでしょう。
風通しが良ければ換気システムだけに頼らなくても済みます。
窓の有無について気にするかどうかは、
それまでの生活環境によって左右される部分もあるかもしれません。
たとえばトイレに窓のないことの多い、マンションにお住まいの方は
「トイレに窓がなくても気にならない」
とおっしゃる方もいらっしゃいます。
また、窓があると冬場はそこから空気が冷えますから、
それを嫌ってつけない場合もあるのです。
私がハウスメーカーの営業マンで駆け出しだった頃、
担当したお客様のご要望でトイレを明るくするために天窓をつけたことがありました。
確かに明るいトイレにはなったのですが、
解放感があり過ぎることにお客様がなかなか慣れることができず、
失敗に終わったという苦い思い出があります。
トイレの間取りはプライバシーにも関わりますから、
採光方法はよく検討されることをおすすめします。
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トイレの脱臭対策は壁材選びから
トイレは菌が発生しやすい場所でもあるため、
脱臭・消臭対策が重要です。
換気である程度臭いは飛ばせるとはいえ、
臭いの元を消すことが大切になります。
一番手軽なのは掃除をこまめにすること、
そして市販の消臭剤を使う方法でしょう。
家づくりの視点から脱臭に役立つ方法があるとすれば、
掃除がしやすく抗菌・消臭効果のある壁材(クロスやパネル)を使うことです。
尿の飛び跳ねがあっても、掃除のしやすい壁材なら、臭いの元をさっと拭き取れます。
そのほか、脱臭機能を備えた便器もありますので、
そういった機器に頼るのも良いでしょう。
いずれにせよ、トイレは清潔にしておくことが最大の消臭対策です。
トイレの広さの目安はどのぐらい?
一般的なトイレの広さは0.4~0.5坪前後、
収納棚を設置したい場合などは0.75坪になります。
トイレが広く感じるかどうかは、部屋の広さに加えて、
便器の大きさとタンクの有無によっても変わります。
タンクレスの場合はタンクありの場合より、
少なくとも10cm程度は便器の奥行が短くなります。
またタンクの高さを感じなくなるので、余計に広く感じられるのです。
トイレに求める「リラックスできる空間」
トイレで快適に過ごせるかどうかは、トイレの大きさのほかに、
+αの機能性を求めるかどうかでも決まります。
営業マン時代にお客様と打ち合わせをしていたときにも、
トイレに求める+αの機能について、いろいろとご相談に乗りました。
そのなかでも「本を読めるスペースを作りたい」
「トイレで歯を磨きたい」という2つのご要望は特に印象に残っています。
トイレで読書する
昔からトイレで新聞や本を読む方はいらっしゃいますので、
注文自体は珍しいことではありません。
お風呂でお湯に浸かりながら本を読む方と同様に、
リラックスしながら読書をしたいということなのでしょう。
またはトイレにいる時間が手持無沙汰で、読書をしているという面もあると思います。
ただ、そのお客様はもっとじっくりと読書をするために、
トイレのなかに小さな本棚を作ってほしいとのことだったのです。
ここまでされる方はあまりいらっしゃいません。
トイレで歯磨きをする
一方、トイレで歯磨きをしたいという要望を出されたお客様は、
お仕事のお忙しい方で、朝の出勤支度をする時間を少しでも節約するために、
トイレで用を足しながら歯を磨きたいと考えていらっしゃいました。
ここまでのご要望ではなくても、
タンクレストイレにするなら手洗い器は必ず必要になりますし、
トイレのなかに清掃用具やトイレットペーパーが収められる棚があるほうが便利です。
トイレの壁に棚を作って置物や絵を飾りたいという方もいらっしゃるでしょう。
便器の大きさ、タンクの有無、+αの機能の必要性を考えながら、
ご家庭にあったトイレ作りを目指してください。