注文住宅についてあれこれ考える際には、敷地のある場所もよく検討されることと思います。
家から駅やスーパー、学校までの距離、医療機関の数など、利便性を考慮に入れるのはもちろん、
会社までの通勤時間も重要なポイントになります。
しかし、敷地の検討時に意外とおろそかにされてしまうのが、敷地の周辺環境です。
環境といっても、緑が多いとか閑静であるといったことだけではなく、
近くに交通量の多い大きな道路はあるか、急な斜面や崖はないか、
大きな川はないかなど、事故や天災と直接結びつきそうな場所のことです。
その場所に長年住んでいる方ならではの土地勘が必要なチェック事項は、
その場所に何度も通ったり、周囲を歩き回ったりしないとなかなか把握できないものです。
もし、周辺の環境をあまり確認しないまま建物の着工をされた方や竣工間近の方でも
これから確認して注意すれば良いのです。
それでは、周囲の環境でどんなところに注意すれば良いのかを見てみましょう。
目次
敷地の陽当たりや風通しは20~30年後も確保されるかどうかを考える

陽当たりの良さや風通しの良さは、その敷地を購入するための十分な理由になります。
敷地の南や東側に面する土地が大きく開けていたりすれば、
良い陽当たりや風通しが期待できるでしょう。
しかし、敷地に面した土地が広いのにも関わらず、何年も空き地になったままだったり、
広い駐車場や畑になっていたりした場合には、注意が必要かもしれません。
なぜなら、将来的にその土地にマンションなどの大規模な建築物が建つ可能性があるからです。
そうなると、空き地や駐車場だった頃の陽当たりと風通しの良さはほとんど期待できないでしょう。
隣接する土地の用途地域が低層居住専用地域ならまだしも、
近隣商業地域や中高層住居専用地域であったりすると、
建物が建たない可能性のほうが低いと言えます。
もし、今の敷地の横に最初からマンションが建っていたら、敷地を購入したかどうかを考えてみると、
そのリスクのほどがわかると思います。
隣家との距離は火災時の延焼のしやすさとも関連する
陽当たりや風通しと同様に、隣の敷地との関係で重要になるのが隣家との距離です。
私がハウスメーカーの元営業マンだった頃は、神奈川県の湘南地区や東京都の世田谷区などをはじめ、
住宅の密集した地域を担当することがほとんどでした。
ときどき東京の新宿区や渋谷区の住宅を担当することもありましたが、
こういった地域では、隣家との間にほとんど空きがありません。
こういう状況で一番恐ろしいのが火災になったときの延焼です。
建物同士の間が十分に空いていれば延焼の対策をいくつか考えることはできるものの、
空きがほとんどないとなると、建物の外壁に耐火性能の高い製品を使うぐらいしか対策はありません。
あなたは本当の値段を知ってる?単価・予算からハウスメーカーを比較!
注文住宅を建てる場合、カタログ比較はとても重要です。注文住宅は一点もの、オーダーメイドの商品です。定価という概念はほとんどありません。つまり、「自分の条件で家を建てたらいくらになるのか?」というのは、他の住宅メーカーと比較して見積もりを取らないとわかりません。必ず見積もりを比較して取得しないと、値段を知ることは困難です。知らずに決定を下すことは何も持たずに狩りにでるようなものです。
注文住宅の世界では、外観や性能は同じでも、業者によって価格が100万~1000万円も違うのが当たり前。後で「こっちの方が安かった…」と後悔しないためにも、必ず比較検討してカタログから見積もりを取ってください。
周辺を通る道路と敷地の位置関係を把握する
自動車をお持ちの方は、敷地内にガレージを作ることを考えていらっしゃるでしょうから、
当然近くにどんな道路が通っているかが気になると思います。
当然敷地から幹線道路までの距離が近いほど便利になります。
ただし、敷地のすぐ横に大きな道路が通っている場合は、道路に出たとたんに交通事故にあったり、
運転を誤った車が家の敷地に突っ込んできたりする危険性があることも考慮に入れておきましょう。
特に交差点近くにある家や、カーブの外側にある家などは注意が必要です。
さらに、交通量の多い道路がそばにある場合は、
騒音と排気ガスが生活に悪影響を及ぼす可能性もあります。
敷地の近くに大きな川や用水などがある場合は雨の日に確認を

近年は温暖化の影響か、短い時間にいきなり大量の雨が降るゲリラ豪雨も珍しくなくなってきました。
このため、大量の雨が流れ込んで起こる川の氾濫、土地の低い場所への浸水、
道路のアンダーパスへの冠水など、被害も年々大きくなっています。
しかし、雨はどこにでも降りますから避けようがありません。
大雨が降ったときにお住まいの敷地にどんな影響が出るのかを把握しておくことは、
財産と生命を守るうえで大事です。
自治体が発表しているハザードマップを見て、
あらかじめ敷地への影響を確認しておくほか、
敷地の購入前なら雨の日に実際にその場所を訪れて、
ご自分の目で雨水がどう流れるか、どこに溜まるか、
水はけは良いのかどうかなどを確認されると良いでしょう。
昔から水にゆかりのある土地には、地名に池、沼、川、沢など、水に関係する漢字が使われています。
こういったことも頼りに、購入を考えている敷地について調べてみましょう。
敷地の近くに崖崩れや地滑りの恐れがある場所はないかどうか
山に隣接した土地や近くに崖があるような場所は、その山や崖が崩れてこないかが心配になるはずです。
地震はもとより、大雨で山や崖の地盤が緩むと、
山肌ごと地滑りを起して、その下にある家に甚大な被害を及ぼします。
その周辺の地盤を調べてから土地を購入されるのが一番ですが、
少しでも不安を感じるなら購入を控えたほうが良いでしょう。