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注文住宅を建てるなら防火に対する規制を理解しておく

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住宅は敷地のある場所に定められた用途地域によって、
建物の建蔽率(けんぺいりつ)や容積率、高さなどが決まってきます

同じように、用途地域によっても建物の防火規制が変わるのです。

建物の密集した住宅街で起きた火災が延焼したり、
多くの飲食店が入ったビルがある繁華街で火災が起きたりした場合、
建物の建材に防火の規制がないと炎が燃え広がりやすくなってしまいます。

そうならないためにも、用途地域によって建物に対する防火規制があるのです。

注文住宅を建てる地域にどんな規制があるのかを理解しておくと、防災に対する意識も高まります。

それでは、防火規制についてもう少し具体的に見てみましょう。

防火対策の基準となる2つの防火地域

都市計画法の第9条には、市街地における火災の危険防除を目的として
防火地域」と「準防火地域」を設けています。

これはこの地域に作る建物に対し、防火性能などを規制することで、
火災から街を守ることが大きな目的です

まずは、2つの防火地域にどんな違いがあるのかを見てみましょう。

防火地域による制限の違い

防火地域による制限の違いは何でしょうか?

防火地域

都市の中心的な市街地、あるいは主要な幹線道路沿いなど、
交通の要所や大小の商業施設・建物が密集している地域で火災が発生すると、
延焼の具合によっては大きな被害が出かねません。

こういったエリアには「防火地域」を指定して、
建物の構造使用する建材などに規制を設けています。

防火地域に建てられる建築物は、基本的に鉄筋コンクリート造や
鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐火建築物になります。

しかし、防火地域内の建物であっても、延べ面積が100㎡以下で
地階を含む2階以下の建物の場合は、下で挙げた
準耐火建築物の基準を満たせば建てることができます。

【防火地域内の建物に対する建築制限】

延べ床面積100㎡以下 延べ床面積100㎡以上
1階 耐火建築物か準耐火建築物 耐火建築物のみ
2階 耐火建築物か準耐火建築物 耐火建築物のみ
3階 耐火建築物のみ 耐火建築物のみ

上記の準耐火建築物というのは、外壁、柱、床、梁などの建物の構造物を、
国土交通大臣の定めた準耐火性能の基準で作った建物のことです

この建物は準不燃材料を使った外壁などを使うほかに、
開口部(扉や窓など)に延焼を防ぐための防火戸が使われています。

また、火事でそれぞれの構造物に熱が加えられた場合、
一定時間燃えても構造耐力上支障の出ない高い性能が求められます。

たとえば、屋内で家事が起こった場合なら、柱や床で45分、
屋根なら30分は燃えても耐えられるという性能です。

準防火地域

準防火地域というのは、防火地域よりも緩い規制が設けられた地域です。

通常は防火地域が設けられた都市部の外側に、
広範囲に指定されています(中心的な市街地と郊外の間の場合が多いです)。

準防火地域には、延面積が500㎡以下であれば
一般的な木造の2階建て住宅などを建てることができるほか、
防火基準を満たしていれば木造の3階建て住宅も建てられます。

しかし、2階建て住宅を建てる場合でも、隣地から延焼の危険性がある
外壁・軒裏(のきうら)部分などを防火構造にすることが求められます。

【準防火地域内の建物に対する建築制限】

延べ床面積500㎡以下 延べ床面積500㎡~1500㎡ 延べ床面積1500㎡以上
1階 防火措置済みの木造構造物 耐火建築物か準耐火建築物 耐火建築物のみ
2階 防火措置済みの木造構造物 耐火建築物か準耐火建築物 耐火建築物のみ
3階 耐火・準耐火建築物。技術的基準に達した建築物 耐火建築物か準耐火建築物 耐火建築物のみ
4階以上 耐火建築物のみ/td>

耐火建築物のみ 耐火建築物のみ

耐火建築物を建てると建蔽率(けんぺいりつ)が緩和される

防火地域内に建てる建物は耐火基準を満たさなければならないため、
高価で高性能の建材を使うことになります。

つまり防火規制に関しては、第1種住居専用地域などとは別の厳しさがあるわけです。

といっても、ただ単に厳しい規制があるだけではなく、メリットもあります。

たとえば、「建蔽率が80%になっている地域以外の防火地域」に
耐火建築物を建てる場合には、建蔽率が10%加算されるというメリットです。

これを利用すれば、建蔽率が50%の敷地に
耐火建築物である鉄骨鉄筋コンクリート造の建物を建てれば、
建蔽率を10%加えた60%で建てられるわけです。

なお、このメリットは準防火地域の建物や準耐火建築物にはありませんから、
大きなアドバンテージになります。

防火地域以外に指定されている第3の防火規制

実は防火地域、準防火地域は、
都市計画区域のすべての地域に当てはめられるわけではありません。

そうなると住宅街のある第1種・第2種低層住居専用地域が、
これらの防災地域に指定されていないことも当然あるのです。

しかし、火災が延焼したときに発生する被害の大きさは、中心地も住宅地も同様です。

そのため、この2つの防火地域に含まれない郊外にも
屋根不燃区域(または屋根不燃化区域)」という規制があります。

屋根不燃区域は都市計画区域の外にある地域も指定できるのが特徴で、
住宅の屋根や外壁に不燃性の材料を使うことを求められます

たとえば、屋根なら瓦やセメント系のスレート板、
外壁なら燃焼の恐れがある部分に土塗壁(つちぬりかべ)などの
不燃性の材料を使わなければなりません。

燃焼の恐れのある部分とは、隣地の境界線、あるいは道路の中心線から
1階なら3m以内、2階以上なら5m以内の範囲にある建物の部分を指します。

この屋根不燃区域は建築基準法第22条で規定されていることから「法22条区域」とも呼ばれています。

指定された防火地域によって住宅のコストも変化する

以上のように、住宅は建てる敷地に指定された防火地域の種類や
屋根不燃区域(法22条区域)によって、防火対策に求められる住宅の性能が大きく異なります

これによって、防火地区と屋根不燃区域では、建築費用が通常よりもかさみます。

たとえば、防火地域、準防火地域で窓に使うサッシは、
耐火・遮熱性能が高く、ガラスの中に網の入った複層ガラスの製品などの使用が求められます。

こういった製品は通常のサッシよりも高額で、2倍近い価格のものまであるのです。

同じように外壁や屋根など、さまざまな場所に防火性能の高い建材を揃えると、
建築費が自然と膨らんでしまいます。

住宅が高い防火性能を持つのは望ましいことですが、
住宅を建てるうえで重視するポイントがそこではないのなら、
住宅を建てる場所(地域)を変えることも検討したほうがよいでしょう

いずれにせよ、あらかじめ購入される土地が
どの地域に属しているのかを理解しておけば、思わぬ出費も抑えられます。

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