注文住宅の間取りを考える際には、
電気設備についてもよく考えましょう。
上下水道と同じく、建物内をくまなく這っているのが各種の配線です。
最近は電気の配線だけではなく、
インターネット用のLANケーブルなどが
家の壁や床の下を這うこともすっかり当たり前になりました。
家の上下水道が人体における動脈・静脈だとするなら、
電気設備や通信ケーブルはさながらリンパ管や神経網といったところでしょう。
それほど電気設備は重要なのです。
しかし、日常生活で直接関わってくるのは、
配線よりもスイッチや端子の配置でしょう。
どこにどんなスイッチがあったら良いのか、
電気・TV用のコンセントやインターネット用のLAN端子を
どの壁に設置するかなどを考えましょう。
電気配線はスイッチの場所によって使い心地が大きく変わる
電気用のスイッチは、玄関から寝室、
廊下まで家のあらゆる場所に設置されています。
そのため、家のなかの動線を考えつつ、
各スイッチがどこにどの高さで設置されていると
便利かをシミュレーションしてみることをおすすめします。
たとえば、階段とその先に必ず通る廊下があった場合、
階段と廊下のライトが1つのスイッチで同時につけられると便利です。
しかし、廊下だけを通る場合を考えれば、
階段と廊下のライトは分けてつけられるほうが便利かもしれません。
さらに、この考えを発展させれば、廊下のライトはスイッチ式ではなく、
人感センサー付きライトにするほうが
スイッチ自体がいらなくて便利と考えられるかもしれません。
最近のスイッチは高機能化が進み、
スマートフォンを使って一括して
家の照明をオフにできるものまでありますから、
視野を広くとりつつ、いろいろな商品の使いみちを想像してみましょう。
スイッチの配線といえば、
私がハウスメーカーの営業マンをやっていた頃に、
お客様の住宅の配線でこんな失敗例がありました。
大手メーカー営業マン時代のエピソード
まだ営業マンとしては
若く未熟な頃のお話でお恥ずかしい限りですがご紹介しましょう。
とあるお客様のご要望で、立派な玄関と外構を作った際に、
玄関ホールのライトと
玄関灯(ポーチライト)を1つのスイッチでつくようにしました。
夜に帰宅・外出をするときは、玄関ホールと玄関ポーチは必ず通るわけですから、
1つのスイッチで両方が同時に点灯したほうが便利だろうと考えたわけです。
また、玄関灯があれば、
門から玄関までの足元が照らされると考えていました。
ところが設置後しばらくして、
お客様から
「玄関灯で門から玄関までは見えるけれど、表札や門扉の周辺が良く見えない」
とクレームをいただいてしまいました。
私はお客様自身の家ということで、
夜間に表札が見えるかどうかはあまり考慮に入れていなかったのです。
しかし、夕方や夜にお客様の家を訪れる方は、
必ずしもご家族だけとは限りません。
最近は郵便局や宅配便でも20~21時に配達することはありますから、
表札がはっきり見えたり、
門扉周辺が明るかったりすることは非常に重要だったのです。
結局、お客様からこのご指摘をいただいて、
後日外構にも灯りを設置することになりました。
外構や玄関周辺をライトで明るく照らすことは防犯にもつながりますので、
玄関、外構と分けて照明器具を設置することをおすすめします。
ライトのつけ忘れや消し忘れが心配な方は
人感センサー付きの商品を選ぶと良いでしょう。
3路スイッチを活用して電気のオンオフを便利に行う
電気のオンオフを異なる場所から行えるスイッチのことを、
3路スイッチといいます。
電気をオンオフするための配線が3本で構成されていることから、
3路スイッチと呼ばれているのです。
3路スイッチは、おもに移動前と移動後に
同じ機器のスイッチをオン・オフする場合に使います。
たとえば、階段を登る前に1階で照明のスイッチをオンにして、
階段を登ったあとに2階からオフにする場合、
3路スイッチを使うのが一般的です。
同じように、寝室に入ったら照明のスイッチをオンにし、
布団に入って手元のスイッチをオフにするような場合も
3路スイッチを使います。
3路スイッチは屋内の部屋に限らず、
ビルトインガレージなどに使っても便利です。
インターホンやテレビドアホンは無線式が便利
来客の応対に使うインターホンやテレビドアホンは、
防犯だけではなく不要な押し売り営業を断るのにも便利です。
モニターを通して通話や訪問客の姿を確認できる親機は、
1階のキッチンに設置されるケースがほとんどですが、
家の2階にいるときに来客があった場合は、
下の階に降りていかなければならず、
非常に不便です。
そんなときのために、
インターホンはワイヤレス式の子機がついたタイプを選ぶことをおすすめします。
この子機を2階に置いておけば、
洗濯物の取り込み中に来客があっても対応できるわけです。
ワイヤレスなので設置する部屋が固定されないのも大きなメリットで、
話しながらそのまま1階に向かうこともできます。
なお、防犯性を重視するなら、インターホンは訪問者の画像を残せる機能や、
スマートフォンで外から来客相手を確認できる機能のついた機種を選ぶと良いでしょう。
インターネットは無線LANと組み合わせて使う
総務省が発表した平成29年の情報通信白書によると、
日本のインターネット普及率は83.5%で、
そのうちパソコンで接続しているケースが58.6%で最も高く、
次いでスマートフォンの57.9%、タブレット型端末の23.6%となっています。
若者よりもお年寄りのほうが普及率は低いなど、
世代間の普及率の違いがあるとはいえ、
国民の5人のうち4人がインターネットを利用している時代なのです。
となると、電気と同じようにインターネットが快適に使える環境を整える必要があります。
インターネットは、外から回線を引き込む際にルーターという装置を通して接続します。
ルーターからはLANケーブルを使って屋内に配線されますが、
おすすめなのは無線LANルーターも接続することです。
スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機などは、
基本的に無線LAN以外に接続できません。
また、これらの機器を家で使う場合は、
無線LANでの接続に切り替えたほうが、余計な通信費を使わずに済みます。
また、LAN端子を壁に設置する場合は、
電気用のコンセントと一緒にされる場合がほとんどです。
LAN端子は一度差したらほぼ差しっぱなしのことが多いので、
LANケーブルを部屋のなかでどう這わせるかを考えましょう。
据え置き型のパソコンで使う場合は有線LAN、ノートパソコンなら無線LANなど、
どの部屋でどのパソコン、スマートフォンを使うのかをあらかじめ洗い出しておくと、
LAN端子を設置する部屋や場所が自然と決まってきます。
電気設備はあとから追加・変更工事を依頼すると手間も費用もかかります。
なるべく最初の工事が完了する前によく検討しておきましょう。