大手ハウスメーカー元営業マンがお伝えする家づくり成功の法則

家を建てる費用や見積り

注文住宅だからこそ地震に強い家を建てる必要がある

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日本は言わずと知れた地震大国です。

少し古い資料ですが、
気象庁が発表した2001~2010年のデータを基にした地震の年間平均発生回数は、
一番多いマグニチュード3~3.9で約3800回、4~4.9で約900回となっており、
非常に多いことがわかります。

確かに震度2~3程度の小さな地震はよく起こりますし、
ここ30年のうちに阪神・淡路大震災、東日本大震災と、大きな地震も立て続けに起こりました。

あの地震で各地に甚大な被害が出たことは記憶に新しいでしょう。

このように地震は非常にやっかいで恐ろしい天災ですが、
日本に住む以上はうまく付き合っていかなければなりません。

地震大国日本で暮らすために必要な家づくりとは?

今後も大きな地震がいつか起こることを視野に入れて、
強い住宅を建て、生命と財産を守る必要があります

実際、関東地方にも大きな被害を及ぼした東日本大震災の後ということもあってか、
お客様が注文住宅に求める耐震性能は、年々高くなってきているように思います。

ここでは、地震に対してどんな対策をすればいいのかをご紹介しましょう。

軟弱な地盤は改良工事で家の補強する

地震に強い家を作るための条件とは何でしょうか?

端的に言うなら、地盤基礎建物の3つが頑丈で、
それぞれが互いにしっかりと結びついている家です。

そう聞くと
「基礎と建物は構造上の問題だから解決できるとしても、
地盤についてはどうしようもないのでは?」
と考える方がいらっしゃるかもしれません。

その疑問もごもっともだと思います。

しかし、たとえ敷地の地盤が軟弱な場合でも、
以下のような方法で補強をすれば、解決できてしまう
のです。

1)土地の地盤の表層改良を行う

これは軟弱地盤の地表面を均一な深さに掘り、
そこに固化材(セメント)を流し込みながら土と混ぜて埋め戻すことで、
地盤を固める補強方法です。

浅層混合処理工法とも呼ばれます。

表層改良はさまざまな土質に対応できることが特徴です。

また、地表から一定の深さを掘って固めるだけなので、工期が比較的短くて済み
1m程度の深さであれば注文住宅の諸費用も比較的安価で済みます

ただし、対応できる軟弱地盤の深さは2mまでとなっています。

2)土地の地盤の柱状改良を行う

こちらは2~8m程度の深さがある軟弱地盤に対して行われる一般的な改良方法です。

まずは軟弱地盤の下にある、硬い地盤まで垂直に穴を掘りながらコンクリートを流し込み、
地中に複数本の丈夫な柱を埋め込みます。

その上にベタ基礎を載せて建物全体を支えるわけです。

大型の重機を使う工事なので、費用は表層改良よりも高くなります

3)注文住宅の基礎をベタ基礎にする

立ちあがり部分だけでなく底板も鉄筋コンクリートにして、
まるで船のような形になった基礎をベタ基礎といいます。

ベタ基礎は地面をコンクリートで覆ってしまうため、
白アリ対策にもなることから、最近の木造住宅では採用されることが多い方法です。

この基礎は建物にかかる荷重を底板全体で受け止めることで、
建物が沈下するのを防ぎます。

なお、地盤の地耐力(地盤がどの程度まで荷重に耐えられるかを示す値)が一定ではない場合は、建物の不同沈下が起こる危険性もあります。

不同沈下とは、建物が水平ではなく、
どこかに偏りながら(傾きながら)不揃いに沈んでいく状態のことです。

その場合は立ちあがり部分がベタ基礎よりも高く、
断面が逆Tの字型になった布基礎という方法を使う場合もあります。

注文住宅の基礎と建物、部材間の接続部分を強化する

建物の耐震化は、さまざまなメーカーが研究を行い、
新しい工法を常に開発しています。

ここまでご紹介してきた基礎部分はもちろん、
基礎と建物、建物の部材同士の接合部分にも日々改良が加えられているのです。

たとえば、基礎と建物の接続部分に抜けにくいアンカーボルトを採用したり、
特別な耐力壁を使って荷重を支えたり、
鉄骨工法の家であれば、ボルトナットの締め方の工夫、
2×4(ツーバイフォー)工法であれば、パネルの接合部の強度を上げたりするなど、
その研究は多岐にわたります。

強い地盤とその上に作る基礎、そしてその上に載る建物の3つがうまくかみ合えば、
地震に強い住宅を作ることができる
でしょう。

注文住宅の工法によって異なる費用や工期

「家づくりに関する情報の集め方」のところでも少し触れましたが、
注文住宅を比較し、理解するうえで欠かせないポイントが、
住宅の工法の違いに対する知識です。

住宅建築の工法によって工期、費用、強度などに違いが出てきますので、
これはぜひ理解しておきてください。

ここでは主な工法を挙げながら、その違いを簡単に説明しましょう。

1)木造の在来工法

正式には木造軸組工法といいます。

これは木材を使った日本で一番ポピュラーな工法で、
木造住宅の約7割がこの方法で建てられています。

木材の柱と梁(はり)を使って基本的な構造体を作り、
それを基礎の上に取り付けるのが特徴です。

これで地震のときの縦揺れ、横揺れの力を支えますが、
小屋組みの屋根部分でも加重を受けられるようになっています。

昔からある日本のお寺や神社は、すべて木造軸組み工法で建てられています。

2)2×4(ツーバイフォー)工法

これはアメリカが発祥といわれている工法で、
柱ではなく頑丈なカベを使って建物を支えるのが特徴です。

2×4(ツーバイフォー)という名称は、上枠、下枠、縦枠などの主要な部分の縦横のサイズが、
2インチ×4インチをはじめとした規格品の構造製材であったことが由来です。

この工法の良いところは、部屋の気密性が高くなり、断熱効果も高まる点です。

さらに、木造軸組工法と比べても構造がシンプルで組み立ても容易なため、
工期が比較的短くて済みます

3)RC工法

RC工法のRCとはReinforced Concrete(補強されたコンクリート)の頭文字です。

RC工法ではコンクリートの壁が構造躯体の中心になることから、
鉄筋2×4工法とも壁工法ともよばれます。

コンクリートを使うので建物の重量が増しますが、そのぶん強度も上がります

4)プレハブ工法

こちらは大和ハウス工業積水ハウス工業ミサワホームパナソニックホームズ(旧パナホーム)といった大手ハウスメーカーの鉄骨住宅が採用している工法です。

プレハブとはPrefabricationの略で、
規格部品を使って組み立てる家のこと
をいいます。

この工法は事前に工場で製造しておいた鉄骨の部品を使って、
施工現場で組み立てながら家を作るのが特徴
です。

プレハブ住宅のなかには部屋をまるごと作ってしまうユニット工法もあり、
これを使うと一番早く家を建てられます

日本の戦後の家づくりを支えたのは、
この工法といっても過言ではないでしょう。

5)混構造

混構造は設計事務所がよく採用する工法です。

これは木造と鉄骨を組み合わせたもので、
地下室のある家を建てる際などによく使われます。

鉄骨で耐震強度を増しながら防火にも備え、
木造を組み合わせているぶん、コストを抑えることができます。

鉄骨と木造の良いとこ取りをしている工法です。

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