大手ハウスメーカー元営業マンがお伝えする家づくり成功の法則

家を建てる費用や見積り

家の玄関は住宅の大切な顔

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ここでは、間取りのなかから玄関に絞ってプランの練り方を見てみましょう。

家の玄関は単なる出入口ではない

家づくりは間取りづくりである」という私の考えをご理解いただいたうえで質問です。

注文住宅の間取りのなかで、住まいの玄関についてはどんなイメージをお持ちでしょうか

「玄関は家の出入口だから、あまりスペースを割きたくない」
「予算を考えると玄関よりもほかの部屋に費用をかけたい」
と考える方もいらっしゃることでしょう。

このように、ともすると玄関は家づくりにおいて優先順位が低くなりがちです。

玄関の間取りは家の顔になる

確かに、玄関はリビングのように家族が長い時間を過ごす場所ではありませんし、
浴室のようにリラックスできる場所でもありません。

「玄関のライフスタイル」と想像してみても、
具体的なイメージがわきにくいと悩む方もいることでしょう。

実は、玄関は出入口であると同時に、大切な家の顔なのです。

家族と訪問客をつなぐ場所

親しいお客さまが家に訪問されたとき、最初に入る場所は玄関です。

また、宅急便の受け取りのように、
訪問相手が家の中まで入らない場合でも、玄関までは入ります。

つまり、玄関という場所は、普段から家族と訪問客をつなぐ重要な場所なのです。

家の顔だからこそ機能性と利便性を重視

日常的にお客様をお迎えするなら、キレイな玄関で気持ちよく応対したいと思いませんか?

また、こちらがそう考えているいないに関わらず、
訪問される方は玄関を見てその家が明るい雰囲気なのかどうかを感じ取ったり
玄関のデザインから住人のセンスの良し悪しを判断したりすることもあります。

その際に、玄関が整理整頓されて清潔だったとか、
飾られた花からいい香りがしてきたというだけでも、
人の印象というのは大きく変わるものです。

であるとすれば、他の部屋と同様、玄関作りはおろそかにはできません。

玄関設計3つのポイント

たとえば、奥行のある玄関吹き抜けで開放感のある玄関など、
プランニングの内容しだいでは、家の間取りの中でも玄関の存在感がグンと大きくなることも考えられます。

お客様を堂々とお迎えできる、機能的で利便性の高い玄関を作りましょう。

ここでは玄関づくりに必要な3つのポイントをご紹介します。

1)玄関をどの程度の広さにするか

費用の問題はひとまず置いておいて、玄関にどの程度の広さがあれば快適になりそうかを考えてみましょう。

注意点としては、家の坪数に比例して玄関の広さがある程度決まることです。

たとえば、20坪の家に対して6坪の玄関では、あまりにもアンバランスでしょう。

玄関は暮らす場所ではありませんから、そのスペースを他の部屋に使ったほうが有効に活かせます。

それは狭小住宅であれば、なおのことです。

事例から見る「玄関の広さ」

私がハウスメーカーの営業マン時代に、東京都杉並区永福町のお客様を担当したときにも、
こんなことがありました。そのお宅は21坪の狭小住宅でしたので、玄関のスペースを確保するのに苦労したのです。

最初に考えたのが、家の間取りから不要な廊下をなくすことでした。

40坪の家なら玄関の広さは2~4坪程度

玄関ホールは最低でも人がすれ違える広さを確保する必要がありますから、
少なくとも1.5~2畳ぶんは確保しなければなりません。

いろいろと検討した結果、このお客様の家もそれと同程度の広さに落ち着きました。

これは本当に最低限度の広さなので、
玄関の収納スペースにはほとんど余裕がありませんでした。

一般的にバランスの良い玄関の広さは、40坪の家なら2~4坪程度です。

これ以上家の坪数が増えた場合でも、玄関には4坪もあれば十分といえます。

玄関にホールを作るかどうかは、家の広さとお客様のお好みしだいです。

一息つける場所としてホールを作る方もいらっしゃれば、
ホールをなくして玄関から直接隣の部屋に入れる間取りにする方もいらっしゃいます。

しかし、玄関に特別なこだわりがある場合は、
必ずしも広さの目安に従う必要はありません。

広さの基準より「こだわり」を優先しても良い

私が営業マン時代に担当したお客様のなかにも、
玄関に対して強いこだわりを持っている方がいらっしゃいました。

そのお客様のご要望は、玄関ホールを12畳ぐらいにしたいというものでした。
12畳の玄関といえば豪邸でたまに見る広さで、一般的なサイズではありません。

お客様はその広い玄関に、クマの置物や彫刻を始めとしたアート作品を飾りつつ、
重厚感を出したいとおっしゃったのです。

こういった明確なプランがある場合は、広さの目安に従わず、
ご自分の要望を優先するほうが良い結果につながります。

2)間取り作成において、収納スペースを確保して機能的な玄関にする

玄関は家族が毎日利用する場所です。

しかも、通勤・通学、買い物や訪問客の対応などで1日に何度も利用します。

当然、外出・帰宅のたびに靴を履いたり脱いだりすることになりますから、
玄関には十分な収納スペースが必要です。

そのほか、傘やレインコートなどの雨具、靴墨・防水スプレーといった手入れ用品などは、
履物の近くに収納しておいたほうが何かと利便性は高くなります。

では、実際にこれらを収納するためのスペースは、どの程度確保すれば良いのでしょうか

私の長年の経験から申しますと、
履物に関しては現在お持ちの量の2倍が収まるスペースを確保しておくと安心です。

なぜなら、新しい家に移り住んだあとは、自然と物が増えていくことはあっても、
減ることはまずないからです。

最初からピッタリの収納スペースを用意するのではなく、
多少広く見えても収納量に余裕のある棚を用意するほうが後悔しなくて済みます

人気のあるクローゼット式収納

玄関の収納というと、以前は下駄箱(シューズボックス)を置くのが主流でした。

ところが最近増えているのはクローゼット式の収納です。

これは扉のついた大型の棚で、サイズの違う履物がキレイに整頓できるほか、
中にコートや上着もかけておけます。名前のとおりクローゼットがそのまま玄関にあると思ってください。

そして、ご家族が外出や帰宅をされた時に、
上着やコートが寝室と玄関のどちらにあったほうが便利なのか、
それぞれのライフスタイルを想像して選んでみましょう。

なお、玄関に広い土間がある家では、
回転型のクローゼット式収納という選択肢もあります。

ほかにも、クローゼットを設置するのではなく、
壁面収納にしてスペースを有効活用するのも良いでしょう。

その際、玄関の壁が厚く、中の断熱材を多少減らしても大丈夫なのであれば、
さらにコンパクトな収納スペースにすることもできます。

壁のふところには何cmの空間がありますか?」と住宅メーカーの営業マンに聞けば、
断熱材を減らした収納が可能かどうかわかります。

一般的には、ふところに20cmもあれば、断熱材を減らした分の収納スペースづくりが可能だからです。

広い収納スペースの実例

収納の実例としてはこんなケースもありました。

以前、神奈川県の湘南地区で農家のお客様を担当した際、
「畑作業から帰ってきたときに、作業服や道具を玄関に置きたい
というご要望をいただいたことがあります。

そのお客様の家は広さに余裕がありましたので、
玄関にウォークインクローゼット式の収納スペースを5畳ぶん作ることをご提案しました。

このクローゼットによって、畑で汚れた作業着や農機具を
家の中に持ち込まずに済むようになり、
お客様にも大変喜んでいただけました。

玄関収納には、こういった使い方もあるのです。

玄関収納は雨の日のことを考えて湿気対策は万全に

このように玄関の収納に関してはさまざまな考え方がありますが、
注意しなければいけないのが湿気対策でしょう。

玄関は家に土足で入る唯一の場所ですから、床を水洗いすることがありますし、
雨の日は濡れた靴や傘、レインコートを玄関に持ち込みます。

そのため、十分な湿気対策が必要なのです。

「湿気対策はどうしたら?」営業マンに聞いてみよう

私は営業マン時代に、工務店や設計士と何度も打ち合わせをする際、
玄関の湿気対策に関して、どう考えているかを必ず聞くようにしていました。

その時に湿気対策について気の利いた提案をしてくれる業者はレベルが高いと考えて間違いありません。
住宅展示場に行ったときには、
ハウスメーカーの営業マンに湿気対策についてぜひ聞いてみてください。

3)家の顔らしく、凝ったデザインの玄関にする

注文住宅の良さは、お客様のオーダーしだいでデザインを自由に変えられるところでしょう。

玄関の奥行と上下の立体感を意識しよう

玄関をデザインするうえでまず考えていただきたいのは、
奥行き感と上下の立体感についてです。

奥行き感を出したい場合は、
玄関ホールと廊下、階段をどうつなげるかがポイントになります。

さらに、採光の方法や照明の当て方によっては、
奥行き感に加えて高級感も演出できます。

玄関ホールに螺旋階段を作り高級感を演出

以前、担当したお客様から
「玄関から螺旋階段が伸びる洋風の玄関ホールにしてほしい」
というご要望をいただいたことがありました。

お話しを良く聞いてみると、
洋館風の玄関で、螺旋階段も鉄製の無骨なものではなく、
海外の古い映画に出てくるような装飾の施された高級なものをイメージされていたのです。

結局、検討を重ねた結果、大きな玄関ホールに螺旋階段を作り、
玄関と階段の一体感を演出するようにしました。

さらに、階段には腰壁を使わず、木彫りの装飾が入った高級感のある手すりを採用しています。

さらに、玄関を吹き抜けにしたことで、
上下方向の立体感と開放感も生まれました

上からの採光や風の流れも期待でき、湿気対策にもなります。

玄関のデザインに必要な色の考え方

間取りにおいて、玄関のデザインを考えるうえで、
大事にしてほしいのが色の使い方です。

これは壁や床だけではなく、玄関の扉も含まれます。

たとえば、白い壁白いタイルの床濃い青色の扉なら欧風なりますし、
白い壁天然石のタイルの床明るい木目の扉なら和風もなります。

まずは、家全体のデザインを見ながら、木目にするのか、
モダンな装飾を使うのかなど、大まかな方針を考えておきましょう

扉を開けて目に飛び込んでくる玄関の印象は、訪問客にとっても大きなものです。

ハウスメーカーの営業マンとも相談してこだわってみてください。

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