大手ハウスメーカー元営業マンがお伝えする家づくり成功の法則

家を建てる費用や見積り

健康的な生活を送るための寝室作り

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家のなかで、リビングと並んで過ごす時間の長い部屋が寝室です。

こう言うと驚かれるかもしれませんが、睡眠時間が8時間の場合、
1日の1/3を寝室で過ごすわけですから、ご納得いただけるのではないかと思います。

とはいえ、
「寝室はただ寝るだけの場所。間取りについて細かいところまで考慮する必要はないのでは?」
と思われる方もいらっしゃることでしょう。

しかし、寝室で日々の快適な眠りを得るのにも、
押さえておきたいポイント
がいくつかあるのです。

この記事では、健康な生活に欠かせない
「快適な眠りを得るための寝室づくり」
のポイントを解説していきます。

夫婦の寝室を別室にする合理的な理由

たとえば、注文住宅の寝室について
「どんな要望がありますか?」
とお客様ご夫婦に伺ってみると、
ときどき「夫婦の寝室を別にしてほしい」と提案されることがあります。

これは夫婦仲が悪いから一緒の部屋で眠りたくないという話ではありません。
(そういう例もありますが)

旦那様のいびきが気になって奥様が寝不足になっているとか、
寝る前に本を読む習慣があるので寝室の明かりを別々に消したいとか、
共働きで帰宅時間が異なるため違う時間帯に眠りたいといった、さまざまな理由があるのです。

「寝室を別々にしたい」と奥様からご提案があると、
ほとんどの旦那様は自分が拒絶されているようで不満に思います。

しかし、十分な睡眠ができるかどうかは健康にも関わる問題ですし、
ライフスタイルにも関わる問題ですから、ぜひご理解いただきたいのです。

では、睡眠不足を解消するには、
寝室を2つ作れば良いのかというと、
費用やスペースの問題もありますので、そう単純でもないのです。

注文住宅を建てるということは、今までのライフスタイルを見直し、
より充実した生活を送るための改善を行うよい機会でもあります。

ここでは、どんな寝室を作ればよいのか、
いくつかのポイントを見ていきましょう。

寝室に合った部屋の広さはどの程度必要?

寝室の広さを考えるときに、まずは寝方を決めましょう。

つまり、床に布団を敷いて寝るのか、ベッドを使うのかです。

最近はベッドで寝る方が増えてきたとはいえ、
洋風の家でも無垢材のフローリングに布団を直接敷いたり、
マットレスを敷いた上に布団を敷いたり、
ロフトに布団を敷いて寝る方もいらっしゃいます。

基本的には、布団よりも大きくて高さもあるベッドが置ける場所であれば、
布団も敷けるわけですから、
ベッドを置くことを基準に部屋の広さについて考えてみましょう

シングルベッドを2つ並べて置けるのは4.5畳から

寝室にシングルベッドを並べて置きたい場合は、
最低でも部屋に4.5畳の広さはないと不可能です。

ただし、置けるとはいっても4.5畳ではギリギリのスペースで、
ベッド以外の物を置く余裕がなくなります。

また、部屋に入ったときに
ベッドからの圧迫感が大きく、窮屈な印象を与えます。

4.5畳だと布団を敷いた場合でもギリギリの広さですが、
ベッドのように高さがないぶん、圧迫感は和らぎます。

夫婦がただ寝るだけのスペースで良いという場合でも、
このぐらいの広さは必要になるのです。

ダブルベッドを置くなら6畳以上は必要

ダブルベッドを置きたい場合なら、
最低でも6畳以上の部屋にしましょう

TV用のラックやドレッサーなどの家具も置こうと思うと狭く感じると思いますが、
床に布団を敷く場合なら十分な広さでしょう。

30~35坪ぐらいの家であれば、
寝室にこの程度の広さはほしいです。

家具も置きたい場合は8畳以上がおすすめ

8畳以上の広さがあれば、ダブルベッドに加えて、
ドレッサーなどの家具を置いても広さに余裕があります。

ベッドの周囲に空きスペースができますから、
ベッドの横から壁側のクローゼットにも余裕で歩いていけるでしょう。

寝室に備えるクローゼットの収納量

寝室を作るときは収納用のスペースも必ず検討します。

寝室が和室なら押し入れ、洋室ならクローゼットです。

最近は洋室が主流なので、どんなクローゼットを作るかが主な検討課題になります。

クローゼットに収納するのは、いつも着る服だけではありません。

畳んで収納しておく服、帽子、ネクタイ、バッグ、シーズンオフの寝具など、
さまざまな物があります。

お客様によっては、書類やスーツケースなどをいっしょにしまう方もいらっしゃいます。

また、将来服が増えていくことも見越して、
クローゼットの容量は余裕を持っておいたほうがよい
でしょう。

広いウォークインクローゼットを作った場合は、
その中に今までお使いだった箪笥を置いてしてしまうのも良いと思います。

寝室の採光計画は慎重に

寝室は夜眠る場所だから陽当たりはあまり気にしないという方がいらっしゃる一方、
寝室からそのまま布団を干したいので陽当たりは良いほうがいいという方もいらっしゃいます。

明るさを気にされない方は北側の寝室を選ぶ場合もあれば、
気にされる方は南側に寝室を選ぶなど、お客様によって好みもさまざまです。

お仕事の関係で昼夜の生活が逆転されている方などは、
暗い寝室のほうが良く眠れて都合がいいという方もいらっしゃるぐらいです。

このへんはお客様のライフスタイルにも関係するので、
良し悪しは一概には判断できかねますが、
寝室の窓の位置に関してはよく考えたほうがよいでしょう。

たとえば、朝日が直接ベッドルームに差し込むと十分に眠れないことがありますし、
枕のすぐそばに窓があると、冬の冷気や夏の熱気で快適な睡眠が阻害されることもあるからです。

照明は複数の灯りを用意する

寝室に使う照明は、部屋のデザインに合ったものを選びつつ、
調光機能のついたものを選ぶことをおすすめします。

できれば、天井につシーリングライトのような灯りよりは、
スポットライトフロアライトテーブルライトなどの灯りを複数組み合わせて使うほうが、
明るさを場所ごとに調整できて便利です。

また、薄いオレンジ色や、やや赤みがかった光の色などはリラックスできる、
というように、色によっては精神にも良い影響を与えます。

そのほか、スポットライトやスタンドは手元を照らすのに向いているなど、
用途別に使い分けられる点が優れています。

お好みによっては光が柔らかくなる間接照明を使うのも良いかと思います。

夫婦別々の寝室を検討する前に

記事の冒頭で触れたご夫婦の寝室を分ける問題ですが、
それぞれの個室とはいかないまでも、比較的ゆるく境界を仕切る例をご紹介しましょう

寝室を分けることを推奨するわけではなく、
このような対処法もあるということで、ご参考までに挙げておきます。

1)ベッドの間を引き戸で間仕切る

ご夫婦のベッドの間に引き戸を作り、寝るときに閉めてお互いの空間を分けます。

普段は引き戸を開けておけばつながった部屋として使えるため、
お互いの拒絶感もほとんどなく、費用も安価で済みます。

2)ベッドの間に共有する空間を作る

寝室に使える広いスペースと費用に余裕がある場合は、
もう少し機能的な間取りにも変更できます。

たとえば、同じ部屋のなかでベッドとベッドを大きく離し、
その間にトイレや風呂などの水回りをまとめる方法
です。

部屋が壁で仕切られていないため、お互いの気配がほどよく感じられるわりには、
いびきや就寝時間の違いも問題なくなります。

大手ハウスメーカー営業マン時代のエピソード

以前、私が担当したお客様のご依頼で、
2.5畳のウォークインクローゼット、同じく2.5畳の書斎を含む
合計10畳の寝室を作ったことがありました。

しかし、ご夫婦の生活サイクルがズレてきたり、
奥様が旦那様のいびきで眠れなくなってきたりしたのが原因で、
お二人は同じ寝室でだんだん寝られなくなったそうです。

最後には奥様は寝室に、
旦那様は書斎に持ち込んだベッドで寝るようになったとのこと。

お仕事の関係でご夫婦の生活サイクルがずれていると、
なかなか同じ時間帯に寝室で寝ることが難しくなります。

どうしてもそのズレが解消されない場合でも、
お互いが十分な睡眠時間を確保するためと、
前向きにとらえることが大事
です。

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