注文住宅を建てるとき、門扉、塀、植栽などの外構と外観にもこだわりたいと思う方は多いです。
大手ハウスメーカーの元営業マンが、イメージ通りの外観にするための流れと、
外観に合った外構をプランニングするコツをお教えします。
外観・外構を決めるポイントをおさえる

注文住宅において、家の見た目はその家主を表す大事なポイントになります。
自分のイメージを形にするには、外観と外構をセットで考え、統一感のある家づくりを目指しましょう。
建物の外観を考えるときに押さえておきたい3つのポイント
建物の外観についての考え方は、建てる方の好みや予算の問題もありますから、正解はひとつではありません。
とはいえ、後悔しないために押さえていただきたいポイントはあります。
それらを3つほどご紹介しましょう。
1)注文住宅の外観は街並みと調和するデザインにする
先に、私が以前担当した埼玉県大宮市のお客様の例をご紹介します。
そのお客様は家の建て替えを希望されていました。
私が「どんな外観をお望みですか?」と聞くと、お客様は
「個性的な見た目はいらないので、自然と調和する家にしてほしい」
と答えたのです。
そこは大宮の繁華街から離れた自然の多い閑静な住宅街でした。
つまり、お客様が生まれ住んだ街の風景や自然になじむ家にしてほしい、というご要望だったのです。
私はこの言葉を聞いて、さすがだなと唸ってしまったことを良く覚えています。
私は約20年間ハウスメーカーの営業マンをやってきて、
その間にさまざまな家を見てきました。
しかし、家の外観についての考え方は、
このお客様のご要望が核心を衝いたものであると思います。
確かに家づくりに個性は大事です。
どんな快適な部屋・間取りを望むかで、お客様の個性が出ます。
しかし、その結果それぞれの街が持つ景観から浮いてしまうような個性は、返ってマイナスになると考えます。
たとえば、これは極端な例ですが、カラフルな外壁の建物が並ぶ北欧の街に、
突然白と黒を基調とした日本家屋が現れたらおかしいですよね。
もちろん日本の家屋は美しい建物です。
とはいっても、北欧ならではの鮮やかなカラーで統一された街並みのなかでは、
日本の家屋は周囲から浮いてしまうでしょう。
そのお客様の家を建てたのは12年ほど前でした。
最近大宮の近くに用事があったため、少し足を伸ばして久しぶりにそのお宅を見てみましたが、
今でも風景になじんだ良い家でした。
家は何十年とその地に建ち続けるわけですから、
周囲に溶け込み風景を壊さないことが大切なのです。
2)住宅の外観とバランスのとれた外構計画を練る
敷地に余裕がある場合は、外構にも力を入れましょう。
敷地の広さにもよりますけれど、
まずは門扉、建物、植栽のバランスを大事にしたいところです。
特に植栽の緑は周囲からの目隠しになるだけでなく、
見る人に安らぎを与えてくれますから、積極的に採り入れてください。
人間にとって緑は心を落ち着かせてくれる色です。
和室の井草の畳のように、緑を基調とした部屋はおだやかな気持ちになれます。
また、植栽を道路から見えるようにすることで、建物との対比も鮮やかになり、外観も引き立つのです。
3)住宅の外壁に使う部材の質感を考える
住宅の外壁にはさまざまな材質とデザインがあります。
注文住宅によく使われるサイディング(板状外壁材)でも、タイルや岩肌などのさまざまな模様がありますし、
サイディングを使わずに塗り壁にしたり、焼き杉や石を使ったりするなど、種類と方法も多彩です。
外壁は色で印象が決まる部分も大きいとはいえ、
屋根の形状とのバランスも考えて、まずは質感を重視したほうがデザインの方向性も定まりやすくなります。

3つのタイプ別に外構を決めるポイントをおさえる
外構には大きく分けて3タイプの仕様があります。
- オープンタイプ
- クローズドタイプ
- ミディアムタイプ
ここからは、外構のタイプ別にそれぞれの特徴を見ていきましょう。
プライバシーを重視する度合いや予算で選べる外構タイプ
周囲の環境に溶け込んだ家にするためにも、
建物だけではなく外構にも気を配りましょう。
ひとくちに外構といっても、作り方はさまざまですが、
まずはオープンタイプとクローズドタイプ、
そしてその両方の特徴を兼ねたミディアムタイプの3つのパターンから考えてみましょう。
1)オープンタイプの外構
オープンタイプの外構は、門扉やフェンスをほとんど使わず、
敷地とその前の道が地続きになっているような印象を与える外構です。
門扉やフェンスがないぶん費用を抑えることができるのと、
敷地が広く感じられるようになるメリットがあります。
そのため狭小地などであえてオープンタイプにする方もいらっしゃいます。
デメリットとしては、敷地内への出入りが簡単になってしまうので、
ほかのタイプよりも防犯に気を付けなければいけない点が挙げられます。
また、植栽などを使って、外を通る人からの視線をさえぎる工夫もしておかないと、プライバシーを確保するのも難しくなります。
オープンタイプは開放感がありますから、
アーリーアメリカンスタイルの家を作りたい場合にも、この外構をおすすめします。
2)クローズドタイプの外構
クローズドタイプは、庭や建物が外から見えなくなるほどの高い塀やフェンスを作り、
プライバシーを確保したり防犯性を高くしたりする外構です。
高級住宅街などでは、カーポートをレンガ貼りの高い壁にして敷地を囲い、
外から庭や建物が見えなくなっている家を良く見かけますが、それはこのタイプです。
クローズドタイプは重厚感のある佇まいになる一方、
周囲からは閉鎖的に見えてしまったり、高い壁が圧迫感を与えたりすることもあります。
また、オープンタイプや一般的な外構よりも費用がかかる点も注意が必要です。
さらに、高い壁に光がさえぎられてどうしても陽当たりが悪くなりますから、
敷地にはある程度の広さが必要です。
3)ミディアムタイプの外構
ミディアムタイプ(セミクローズドタイプと呼ばれることもある)は、
オープン・クローズドタイプの両方のメリットを取り入れたごく一般的な外構です。
オープンタイプほど開放感があるわけではなく、
クローズドタイプほど高いプライバシーが確保されているわけではありません。
そもそもミディアムタイプは、敷地がフェンスで囲まれていなければならないなどの決まりがないので、たとえばカーポート部分だけをオープンタイプにして、あとはクローズドにするなど、両方のタイプの良いところを自由に採り入れて良いのです。
まとめ

外構用のエクステリア商品は種類も豊富で、予算やデザインに合わせて自由に組み合わせられるぶん、細部まで凝ることができますし、費用の調整もしやすくなっています。
各タイプのメリットデメリットをよく比較しながら、
豊かな外構計画を立ててみてください。