住んでいる人の命や財産を守るうえで大事なものの1つが、
住宅の耐火・耐震性能でしょう。
天災である地震はいつ起こるかが予想できないので備えるしかありません。
しかし、火災は人災でもあり、自分の家から起こるだけではなく、
隣家からの延焼で起こることもありますので、万全な注意と対策が必要です。
まずは、防火に関する基本事項として、、
法的な側面からの防火地域、そして防火性能についてみてみましょう。
防火地域と準防火地域に建てる家は耐火性が義務づけられている
都市計画法の第9条20項には、、
「防火地域又は準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため定める地域とする」
とあります。
この防火地域と準防火地域とは、簡単に言うと、それらに指定された地域に建てる建築物は、
耐火建築物にする義務があり、火災の被害が拡大しないようにしなければいけないということです。
なお、耐火性能を高めた建築物には、耐火建築物と準耐火建築物の2種類があります。
これらは建築基準法第2条第9号に定められています。
耐火建築物
主要な構造部分(柱、梁、壁、床、階段、屋根)が耐火性能を満たしていて、
なおかつ延焼の恐れがあるドアや窓などの開口部に、
火災を遮るための防火扉などの設備を有している建物のことを言います。
「耐火性能を満たしている住宅」というのは、建築基準法を元に簡単にまとめると、
建物が耐火構造で、自分の家から火災が発生した場合、または隣の家で火災が発生した場合に、
その火が燃え尽きるまでに耐えられる家ということです。
耐火構造としては、1100度の火に対して1時間程度耐えられることが要求されます。
したがって燃えにくく、構造のしっかりとしたコンクリートや鉄骨構造の家は、
耐火面では有利な住宅と言えます。
準耐火建築物
耐火建築物以外の建築物において、
主要な構造部分(柱、梁、壁、床、階段、屋根)が準耐火性能を満たしていて、
なおかつ延焼の恐れがあるドアや窓などの開口部に、
火災を遮るための防火扉などの設備を有している建物のことを言います。
耐火建築物とほとんど同じような内容ですが、準耐火建築物の場合は、
「耐火性能を満たしている住宅」の定義が少し違います。
これも建築基準法を元に簡単にまとめると、建物が準耐火構造である、
または準耐火構造と同等の準耐火性能がある技術的な基準に適合していることが条件です。
では、耐火構造と準耐火構造の違いは何かというと、耐火構造は火災の火が燃え尽きるまで建物が耐え、
そのまま状態を維持できなければいけないのに対して、、
準耐火構造は火災の火が燃え尽きるまでに建物が耐えられれば、
その後は壊れても良いということです。
耐火構造のほうがより強い耐火性能を求められているわけですが、
いずれも火災の延焼を抑制するという点では同じです。
注文住宅を建てる敷地がどんな地域なのかはぜひ知っておいてください。
知っていれば意識が変わり、対策の立てようもあります。
ちなみに、建物以外での防火対策としては、敷地の境界に常緑樹を植えて、
延焼を防ぐ例もあります。常緑樹はその名のとおり、
1年中緑色の葉をつけているので、燃えにくく延焼を防ぐ壁になってくれるのです。
地震に強い家とはどんな住宅なのか?

注文住宅を建てるときに、火災に強い家と並んで検討するのが地震に強い家だと思います。
では地震に強い家とはどういう家のことでしょうか?
まず、建築基準法をもとに、一定の耐震性能が求められている関係上、
木造軸組み工法(在来工法)や2×4(ツーバイフォー)、あるいはプレハブ工法(軽量鉄骨造)など、
構造の違いによる耐震性能に大きな差はありません。
確かに、メーカー独自の工法によって、
制振の仕組みやエネルギーの吸収の仕方に技術の違いこそありますが、
耐震性能だけで評価するなら大きな差はないのです。
地震に強い地盤・弱い地盤の違いと調べ方
地震対策として建物の構造を重視する前に、建物が建つ地盤の性質を見極めることも同じぐらい、
またはそれ以上に重要です。地盤がしっかりしていなければ、、
いかに頑丈な家を建てても、足元から崩れてしまうからです。
今お住まいの地域、またはこれから購入しようと思っている土地がある地域の地盤がどの程度強いのかは、
自治体が発表しているハザードマップが参考になります。
または、民間の「地盤サポートマップ」(http://www.jiban-portal.jp/)のように、
インターネット上から各地域の地盤の強さが確認できるサービスもあります。
一般的には、埋め立て地や干拓地、三角州など、もともと水の中だった場所は、
地盤が弱く揺れやすい土地です。
こういった場所は地震の揺れで液状化を起しやすくなっています。
反対に地盤が強く揺れにくい土地は、山地、丘陵地、台地などです。
地面が隆起してできたような場所は地盤が強い傾向にあります。
しかし、地盤が弱い場所でも、地盤改良工事によって強くすることができます。
地震に強い住宅を基礎部分から考える
木造住宅を例に、地震に強い住宅を基礎から見ていきましょう。
現在木造住宅の基礎は、主に布基礎とベタ基礎の2種類から選ばれています。
布基礎は、壁の下から地面方向に伸びる基礎部分の断面が、
アルファベットのTの字を逆にしたような形になっていて、
Tの上の部分(フーチング)が地面に接することで、建物からの荷重を分散します。
一方ベタ基礎は、基礎の底部全体で建物からの荷重を分散します。
そのため、建物の一部が傾きながら地面に沈む現象・不同沈下が発生しにくくなっています。
地盤が弱い場合は、ベタ基礎が採用されることが多いのも特徴でしょう。
基礎の上の土台も耐震化は可能
しっかりとした基礎を作ったら、その上に乗せる建物もまた頑丈にしなければ意味がありません。
まずは上に乗せる建物の一番下にある土台が重要になります。
土台とは、布基礎やべた基礎の上に並べて乗せ、アンカーボルトで固定する木材のことを言います。
建物の一番下にあり、地面から近いこともあって、
白アリに食べられたリ、水場からの湿気の影響を受けたりしやすい場所です。
そのため、通常は防腐剤を塗るなどして腐りにくくしてあります。
また湿気対策としては床下に換気口を付けますが、
湿気が多い場所については換気扇を付けて対策をする場合もあります。
土台が白アリに食べられるほか、湿気で腐ってしまっては本来の強度を出せませんので、
しっかり施工してもらいましょう。
地震の横揺れ強い建物は壁の多い建物

地震には縦揺れと横揺れがあります。
横揺れの力に耐えられる家にするには、壁が多いほうが良いのです。
壁といってもただの壁ではなく、筋交いが入った壁や構造用合板の厚い壁のことで、耐力壁とも呼ばれています。
2×4(ツーバイフォー)の工法で建てられた家は、耐力壁で支えられた家なので、
横揺れに強い家です。
地震に強い耐力壁を使うこと、
そしてこの壁が家にバランスよく配置されていることが、
地震に強い家を作るためのポイントの1つです。
通常、陽当たりの良い南側は、広いリビングやダイニングを配置することが多く、
反対に陽当たりに関係のない浴室、洗面所、トイレなどは北側に配置します。
この間取りを上から見ると、南側に広い空間があるぶん、
壁の枚数が少なくなることがわかるでしょう。
壁の枚数が少なくなれば、建物の南側を支える力もバランスが悪くなります。
間取りを考える際は壁量が少なくないかもチェックしておきましょう。
骨組みは太い柱や梁の使用に加えて金具で補強
注文住宅の骨組みになる柱や梁は、
なるべく数が多く細いよりは太いほうが良いのは言うまでもありません。
古い住宅をリフォームする際にも、
細い柱があると両側から新しい柱で挟んで補強(サンドイッチ工法)するぐらいですから、
いかに太い柱が重要かはおわかりいただけるのではないでしょうか。
また、柱は1階と2階が1本でつながった12cm角の通し柱が最も強く、
通し柱ではなくても、1階と2階の同じ場所に柱があるほうが、
建物の構造的にも強くなります。
また在来工法の場合は、筋交いを補強したり柱の接合部を補強したりする、
各種耐震補強金物との組み合わせで、縦揺れを含めて耐震性能が格段に上がります。
家具の耐震補強を施すことで部屋の安全性をさらに高める
建物の耐震性を高めても、部屋のなかにある家具が倒れてくるようでは、
危険性はいっこうに減りません。大地震の際に、
家具に押しつぶされて怪我を負ったり亡くなられたりする方がいらっしゃるぐらいですから、
身近なところから耐震性を高めるのがより安全性の高い家づくりに繋がります。
家具は転倒防止器具を取り付けて、壁や天井に固定しましょう。